いすみがく

いすみ農業活性化プロジェクト

実施:川道美悠(園芸学部 食料資源経済学科)

自然豊かないすみは、海と山のあるとても変化に富んだ地形や土壌があります。
献上米として昔から優れた米農家さんをはじめ、昨今では新規就農者も増えてきています。
そうした中、園芸学部の川道が卒業論文とあわせ、いすみの多様な農家さんを訪れ、ヒアリングをさせていただき、その上での考察をまとめました。

こちらでは抜粋して概要をご紹介させていただきます。

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今回いすみ市内の農家さんにご協力いただき、ヒアリング調査を行い、調査結果から対象農家を類型化して比較分析を行った。経営特徴に注目し分類したところ、法人経営型、従来後継者販売農家型、新規就農型、自給農家型の4類型が抽出できた。なお、経営の型は経営特徴から筆者がネーミングした。

1 法人経営型
◎有限会社、株式会社、農事組合法人等の農業法人として経営をしているグループである。米が主生産物となっており、規模がかなり大きい。
・いすみ市で法人経営型の農業をする場合は、米の生産を中心に転作や加工用米等の補助金を活用しつつ、野菜類(いすみ市のおいては水田の裏作でナバナ生産)を組み合わせることが有効である。
・課題は労働力の確保や後継者の確保である。経営者が高齢なため、後継者の確保が会社の存続に関わっている。したがって、親族、いすみ市内だけでなく、都内や県外問わず後を継ぐ人を探す必要がある。また、後継者がいる場合は、将来周辺の水田はここに集約されるようになるのではないだろうか。ただ、規模が大きくなると、作業も増えることになるので、従業員の増加やより効率の良い機械類の導入が検討されるだろう。

2従来後継者販売農家型

◎農家出身者で、就学後すぐに実家の農業を引き継いで就農したパターンAと、第二種兼業農家出身で50代まで他業種で就業したのち、退職後本格的に農業を始めたパターンBがある。
・この型は従来のように生産物をJAに卸している農家が多い。ただ、JAに依存しているわけではなく、直売所で販売したり、直接販売したりして販売先を一つに絞らず複数持っている。パターンBは栽培品目が果樹である点は珍しいが、離職後農業を始める形態は日本農業においてよく見られる。また、規模拡大や生産量の増大等は考えておらず、作業の効率化や高品質化を目標としている。
・パターンAは、経営者が若く、実家の農業を継いで土台がしっかりしているため、今後多くの農業従事者が高齢で引退する中で有力な生産者となることが期待できる。
・パターンBはこれまでの知識と経験を生かしてコンサル業を行っている。この活動は自らの収入の足しになるだけでなく、ノウハウが次世代に受け継がれていくという面でも有効であり、今後高齢農業者がこういった活動に取り組むことが求められるのではないだろうか。

3新規就農型
◎UターンやIターン等、様々なバックグランドを持った人が新しく農業を始めたグループである。ほとんどが国の就農給付金を受給している。
・大きく分けて稲作経営、単一経営、多品目経営があり、就農給付金を活用している農家が多かった。新規参入の農業経営は既存農家と競合しなければならず、生産物を差別化しなければならない。そのため、美味しい農産物の追求、ブランド化等に取り組む農家が多い。このような自らのアイデアで勝負することが勝ち残る戦略である。
・販売先としてJAを選択している農家はほぼおらず、単価が高く、消費者が集まる都内に目を向けている人が多い。また、一度サラリーマンを経験している人が多く、コスト計算をしっかりしている傾向もある。
・社員を雇っている農家はおらず、労働力の確保を課題に挙げていたが、ただ単に人が集まらないという問題ではなく雇うお金がないという問題があるようだ。一方で、自分がやれる範囲でしかやらないというスタンスでやっている農家も多かった

4自給農家型

◎基本は自分で食べる分を生産している。余裕があれば、農産物流通プラットフォームを活用して販売したり、直接消費者に販売したりしている。
・農業を始めて1年程で、プラットフォームを活用している方もおり、今後販売農家になる可能性があり、3(新規就農型)に分類される農家になるかもしれない。農業の魅力は何かという質問に対して、作る楽しさであると全員が答え、純粋に農産物を作ることを楽しんでいる。彼らのような形で農業に関わり技術や地域とのつながりを得たのち本格的に農業に参入するのもよいのかもしれない。

考察(概略)

いすみ市の農業は性別、年齢、経営の規模を問わず様々な人材によって支えられており、新規就農、有機農法、農業法人、多様な販売先、半農半X、伝統農法など、多様なスタイルの農業があった。新しい農業の担い手の登場もあり、こういった動きが従来の農村のイメージを変え、農業経営に新しい道を開いていると言えるだろう。また、新規就農者研修の受け入れを行っている農家も多くあり、実際に就農して5~10年続いている農家が数件あった。したがって、農業を営む環境が整っていると言えるだろう。今後高齢による引退がさらに増え、耕作放棄地も増加することが予想されるが、既存農家や新規就農などの様々なタイプの農家が協力し合い、農村を担っていく必要がある。

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数ヶ月という短い期間であったため、まだ不十分なところもございますが、お忙しい中ご協力いただきました皆様、本当にありがとうございました。

≪ヒアリングにご協力いただきました皆様≫

青木ブルーベリー農園
糟屋様
小林様
小森様
近藤様
五平山農園
最首農園
高原様
つるかめ農園
新田野ファーム
農園タロとアキ
農遊舎
橋本様
はちべえ農園
FARMYARDいしの
増田ライスファーム
みねやの里
結農園

 

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